読後感想「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」美談にしてはいけない特攻隊の真実

「特攻隊員を英霊と讃えるのはエゴである。」

これが書籍「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」を読んでの感想です。

 

特攻隊と聞くと、今までは何となく「命をかけて日本を守ってくれた勇敢な人」というイメージを持っていました。

しかし、本書を読んで特攻隊に対するイメージが大きく変わりました。

 

本書を読んでいると、特攻隊の理不尽さにやるせなさを覚えるとともに、現代でも聞くような上層部の無茶振りにあきれる思いがこみ上げてきました。

それとともに、自分の意志を並々でなく強く持って生きようと思わされました。

 

 

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書籍「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」について

ネタバレしない程度に本書の内容を少しだけ紹介させて頂きます。

本書の中心となる人物:佐々木友次さんについて

本書は特攻隊として9回出撃し、9回生きて帰ってきた佐々木友次さんを中心とした話です。

佐々木友次さんは子供の頃から飛行機が好きで、大きくなったらパイロットになりたいという希望を持っていた人です。

その夢を追って、17歳のときに通信省航空局の航空機乗員養成所(日本空軍の支援機関の様な所)の操縦性募集試験に合格します。

その後、茨城県の鉾田陸軍飛行学校に配属されました。

飛行学校で頭角を現し、大胆で攻撃的な操縦をする凄腕のパイロットと評判だったそうです。

 

そもそも特攻隊は効果的だったのか?

実際のところ、大きな戦果は挙げられていなかったそうです。

 

というのも、技術的に特攻というのは難しかったという話です。

敵の戦艦に特攻するにしても、途中で戦艦の弾幕で撃ち落とされては意味がありません。

このため、なるべく高い高度を維持して飛行し、敵の戦艦に近づくと急降下して特攻する訳ですが、上空からの急降下でターゲットに当てる技術が簡単ではないそうです。

上空からだと戦艦は小さくしか見えず、しかも戦艦も特攻を避けるために蛇行運転をします。

ただでさえ難しい急降下操縦を、蛇行する小さな目標をめがけて行うのですから、ハイリスクな攻撃の割に戦果は挙げられませんでした。

 

逆に考えると、特攻を成功させるためには優秀なパイロットが必要ということです。

日々訓練を重ねた優秀なパイロットに特攻をさせるというのは、戦略として全く評価できないのではないでしょうか。

 

 

本書を読んでの感想

精神論を振りかざす体質は今でも変わらない

当時の首相だった東條氏が飛行学校を訪れた際の話でこのようなものがあるそうです。

学生にどうやって敵機を撃ち落とすかと質問し、学生達は「高射砲でこう撃てば…」と具体的に答えたら、東條は「違う。精神で撃ち落とすんだ」と答えたのです。

それに対する著者の批判として次のことが書かれています。

「精神」で撃ち落とすと最高責任者が言ってしまったら、撃ち落とせない時、その理由は、高射砲の性能の限界でも、アメリカ機の高性能でもなく、「精神」になってしまいます。

具体的な戦略ではなく、精神論でなんとかしろというのは、現代のブラック企業でも見られますが、戦時中から受け継がれてきたものだと再認識しました。

改めて進歩していないのだと、読んでいて脱力する思いでした。

本当に、こういう人にはついて行くまいと思うと同時に、自分の部下に対しては精神論を唱えることは絶対にしないでおこうと肝に銘じさせられました。

 

圧力に屈して死にたくない

そもそもですが、死にたい人間なんて滅多にいません。

本書でも、特攻隊員のほとんどは志願兵ではなく、無理矢理に志願させられた人達だったとあります。

上官の怒声であったり、組織的に断れない状況を作った上で依頼する、といった方法があったそうです。

現代の我々でも、圧力に屈して本当はやりたくないのにYESと言わされてしまう状況はあると思います。

ただ、我々の感じる圧力は、所詮は会社等の組織の圧力だと思いますが、戦時中の特攻隊員が感じた圧力に比べれば屁みたいなものではないでしょうか。

私は本書を読んで、前よりもNOと言うだけの心づもりができたと感じます。(ツケは払わないといけないのでしょうが、それも日本軍内での事に比べれば屁みたいなものでしょう。)

 

特攻隊員を英霊と美化できなくなった

決して特攻隊員の人たちを侮辱するわけではありませんが、多くの特攻隊員は怖かったでしょうし、無念な想いでいっぱいだったはずです。

「祖国のために自ら進んで特攻していった英霊だ」というのは、そういった彼らの無念な想いを無視しているような気がしてしまいます。

勿論、彼らの戦いぶりは尊敬すべきなのでしょうが、残った我々はただ尊敬すべきではなく、彼らを犠牲にしてしまった罪悪感も持つ必要があると感じます。

正直、こうした歴史をよく知らなかった自分が恥ずかしくなりました。

 

 

本書は、上官にどうやって逆らったかという点に興味をひかれたので手にしました。

実際読んでみると、上官への逆らい方だけでなく、太平洋戦争と日本について考えさせられる本でした。

日本人で、特攻隊についてよく知らないという人には一度読んで頂きたい本です。

 

 

ご参考になりましたら幸いです。

以上

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