過労自殺の罰金50万円は妥当なのか?–企業の賠償金の例–


某大手広告代理店の社員の方が過労から自殺した件で、刑事裁判により企業に50万円の賠償金の支払いが命じられました。

50万円というのは少ない気がするのですが、どうやら刑事裁判の判決であり、民事的に別で和解金が支払われているようです。

長時間残業からの自殺が刑事事件として有罪になるのもかなり希なケースであり、金額ではなく賠償金の支払いが命じられること自体が異例な事であり軽視されている訳ではありません。

では、和解金(民事)はいくら位だったのでしょうか。

過去の過労自殺での民事上の和解金は?
過労死事件では、ワタミ株式会社は入社2か月の女性正社員が過労自殺した事件について、1億3000万円の和解金を支払っています。

西日本旅客鉄道は過労自殺した社員の遺族との裁判で約1億円の支払いを命じられています。

どうやら相場としては1億円程度の和解金のようです。

他に民事裁判ではどのような例があるのかを調べてみました。

その1
新入社員歓迎会の2次会で男性社員からセクハラがあった場合:(民事裁判)約33万円
歓迎会の2次回で女性がカラオケを歌っている際、男性社員が太ももを抱きかかえて持ち上げ、同僚の前でスカートがずり上がった、というケースです。
裁判官は「女性の性的羞恥心を害する行為であったことは明らか」、「職務と密接な関連性がある」との判断から男性社員と企業に役33万円の支払いを命じました。

示談金で当事者間の場合ですが、相場としては20~150万円程度の様です。

その2
不当解雇の一例:(民事裁判)150万円
証券会社が自ら勧誘して競合他社を退社させて採用した従業員を営業成績不振を理由に3か月で解雇した、というケースです。

裁判官は「自ら勧誘して競合他社を退社させて採用したにもかかわらずわずか3か月ほどで成績不振を理由に解雇したことは性急にすぎる」と判断し、慰謝料の支払いを命じました。

場合にもよりますが、不当解雇の賠償金の一般相場としては50万円~100万円程度で、不当性、違法性により金額が異なります。次のケースでは不当解雇ですが、100万円となっています。

その3
不当解雇、整理解雇する理由がないにもかかわらず解雇を強行した場合:(民事裁判)100万円
退職金規定の改定や健康相談室の廃止などをしようとしたとき、社員であるXさんが反対し、外部機関に相談するなどしたことを不愉快に思い、整理解雇する理由がないにもかかわらず、解雇を強行した、というものです。また、Xさんは妊娠中でした。

裁判官は「解雇期間中の賃金が支払われることでは償えない精神的苦痛が生じたと認めるのが相当である」との判断から、慰謝料100万円の支払いを命じました。

その4
名誉棄損、週刊誌にソープランドを買収したという噂を掲載した場合:(民事裁判)企業に100万円、社長に500万円
原告のファミリー企業がソープランドを買収したという噂を雑誌に掲載し、出版社が訴えられた裁判です。

名誉棄損を理由に損害賠償として企業に対し100万円、同社の社長に対し500万円の支払いを命じました。

基本的には10~50万円程度ですが、テレビや雑誌などのメディアが名誉棄損で慰謝料、賠償となった場合は高額になる場合が多いです。

その5
中学生がいじめを苦に自殺した場合:(民事裁判)学校に300万円、加害者同級生に1000万円
中学2年男子生徒が、いじめを苦に自殺し、調査の結果、「葬式ごっこ」などのいじめが行われていたことが判明したというものです。さらに、教師もそのいじめに加担していたことが発覚しました。

学校の安全義務違反に基づく慰謝料300万円、加害同級生2人に対して慰謝料1000万円の支払いを命じました。

小学生、中学生がいじめにより自殺してしまった場合の慰謝料には幅があり、過去の例では200万~2000万円ほどです。加害者が多い場合はよりいじめの恐怖が大きかったことから高額化する傾向があります。

比べてみると
あくまでも推測ですが、和解金として1億点程度が支払われていたとすると、民事の賠償額としてかなりの額であると分かります。

ただし、疑問なのが、遺族の方はなぜ和解金を公表しなかったのか?です。

企業は何かあると裁判ではなく、和解金で解決しようとします。

なぜなら、もし「裁判によりXX万円の賠償金の支払いを命じられた」となると判例としてその記録が残ります。

そして、同様の事件が起こった際に、過去に○×という企業で起こったあの事件では~、となんども事件を蒸し返されて企業のイメージダウンになるからです。

子供がいじめで自殺した場合に、裁判を起こして慰謝料の支払いを求めるのは、
「自分の子供がどんなにひどい目にあったのか知ってください。もうこんなことは繰り返さないでください。」
そういったメッセージを含めての事です。

そういった意味で、今回の遺族の方は和解金を公表しても良かったのではないでしょうか。

勿論、子供の死とお金を結び付けたくなかったのかもしれません。

遺族の方にとっては、いくらお金を支払われても、何事もなかったかのようにその企業が運営されていることには納得できない思いがあるのではないでしょうか。

今後、同様の被害が出ないようになることを祈ります。

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