Lenna画像(画像処理の分野でサンプルとしてよく使われる画像)
画像処理エンジニア検定の勉強をしている際に思っていたのですが、
ヤワラ
画像のフィルタの種類って結構多いし、名前と補正効果が結びつかないのもあってややこしい…
そこで、代表的な画像のフィルタについてまとめました。
この辺りを押さえておけば、画像処理エンジニア検定エキスパートのフィルタ問題に関しては大体いけるはずです!
前置き
文字だけでの説明も味気ないので、実際にフィルタで補正した画像もお見せします。
ただし、全てのフィルタではないですが…
使用画像は以下の、Lenna画像に文字とノイズをのせた画像です。
平滑化フィルタの種類
「平均化フィルタ」は単純な平均値を用いますが、重みづけをしたり、平均をとる範囲を工夫する等、複数のフィルタが存在します。
平均化フィルタ
- フィルタの範囲内の画素値を平均し、フィルタの中心の画素値とするフィルタ
- 平均化フィルタを適用すると基本的に画像がぼやける
- 斜め方向の平均化フィルタもある
ガウシアンフィルタ
- 平均化フィルタの一種、加重平均化フィルタ
- 平均化フィルタでは、フィルタの範囲内の画素値を単純に平均するが、加重平均化フィルタでは、重みを付けて平均をとる
- ガウシアンフィルタでは、平均化の際の重みはガウス分布(正規分布)に従うようにし、フィルタの中心から離れるほど重みが小さくなる
- 近い画素の値ほど重視されるため、単純平均よりも自然な平滑化となる
k最近隣平均フィルタ
- 平滑化フィルタの一種
- 単純な平均を算出するフィルタでは画像のエッジが不鮮明になってしまう問題がある
- k最近隣平均フィルタでは、近隣画素のうち、注目画素に近い値を持つk画素で平均を算出する
バイラテラルフィルタ
- 平滑化フィルタの一種、重み付きの平滑化フィルタ
- 注目画素からの距離と、注目画素との値の差に応じた重みを付ける事で、エッジが残りやすい
- ガウシアンフィルタとの違いは、注目画素との値の差を考慮するか否かである
ノンローカルミーンフィルタ
- 平滑化フィルタの一種、重み付きの平滑化フィルタ
- 注目画素ではなく、周辺の画素を含めた小領域を考え、類似した小領域には重みを大きくして平滑化を行う
- 画素単位ではなく、小領域単位で考える事で、画像のパターンを考慮して平均化できる
- 模様のある画像をバイラテラルフィルタよりもエッジを残して平均化できる
メディアンフィルタ
- 平均化フィルタに近い効果が得られる
- メディアンとは中央値の事
- 注目画素を平均値ではなく、フィルタ範囲内の中央値で置き換える(中央値:データを小さい順に並べた時に、真ん中の順位になる値)
- スパイク状のノイズ(画像のなかに離れて点在するノイズ)の除去に効果がある
エッジ検出フィルタ・鮮鋭化フィルタの種類
エッジ検出フィルタの基本は微分フィルタです。
微分の取り方、ノイズをエッジとして検出しないために事前に平滑化を用いる等の工夫のため、複数のフィルタが検討されています。
微分フィルタ
- ある画素とその隣の画素値との差を出力するフィルタ
- 画像のエッジ(境界)部分で値が大きくなる
- 微分フィルタと一口に言っても、左隣の画素との差、右隣の画素との差、上の画素との差、下の画素との差など、どの方向の差分を算出するかで、複数の種類がある
- 左隣や右隣の画素との差なら、画像中の縦線(縦方向のエッジ)の抽出に役立ち、上や下の画素との差なら、画像中の横線(横方向のエッジ)の抽出に役立つ
プリューウットフィルタ
- 微分フィルタと平均化(平滑化)フィルタを合わせた性質を持つ
- 単純な微分フィルタでは、画像のノイズを強調してしまうため、平滑化をしてノイズを除去する方が良い
- 横方向の微分フィルタには縦方向の平滑化をし、縦方向の微分フィルタには横方向の平滑化をする(横方向に平均化すると縦方向のエッジがぼやけてしまうため、横方向の微分フィルタを使用する際には縦方向に平均化をする。)
ソーベルフィルタ
- プリューウットフィルタに類似し、微分フィルタと平滑化フィルタを合わせた性質を持つ
- プリューウットフィルタは平滑化の際に単純平均をとるのに対し、ソーベルフィルタは重み付き平均をとる
2次微分フィルタ
- エッジ抽出のフィルタ
- 左側と右側の1次微分フィルタを組み合わせれば横方向の2次微分フィルタ
- 上側と下側の1次微分フィルタを組み合わせれば縦方向の2次微分フィルタ
ラプラシアンフィルタ
- 横方向の2次微分フィルタと縦方向の2次微分フィルタを足し合わせたもの
- ラプラシアンフィルタ1つで、縦・横・斜めの全ての方向のエッジを検出できる
LoGフィルタ
- LoGとはLaplacian of Gaussianのこと
- ガウシアンフィルタで重み付き平均を行い、ラプラシアンフィルタでエッジを検出する
- 平均化処理が入る事で、ノイズの検出を抑制できる
鮮鋭化フィルタ
- 元画像からエッジ部分を強調した画像を生成するフィルタ
- 元画像から平滑化画像を作成し、元画像から差し引く(これにより、平滑化で埋もれてしまったエッジ成分が浮き出た画像が作成される)
- 元画像に、上記の画像を足す(元画像にエッジ成分が足されるので、エッジが強調された画像となる)
まとめ
画像のフィルタは色々とありますが、それぞれのフィルタで微妙に効果が違います。
複雑なフィルタの方が高性能ではありますが、計算時間がかかるというデメリットもあります。
使用にあたっては、補正効果・処理時間を考慮してフィルタの種類を選択しましょう!
画像処理等で使われるフーリエ変換について記事を書きましたので、ご参考にどうぞ。
やっと分かった!フーリエ変換の分かりやすいオススメの本・参考書2冊
この記事は、大学の授業でフーリエ変換が分からなかった、数学は高校レベルだけどフーリエ変換を理解したいという人に向けて書きました!私は大学の授業では理解できませんでしたが、紹介する2冊の本で「分かった!」と理解することができました!
画像処理のスキルを証明するために、画像処理エンジニア検定というものがあります。
以下の記事でどんな試験なのかを解説しているため、ご参考にどうぞ。
画像処理エンジニア検定エキスパートの難易度は?IPAとの比較・出題範囲・用語を一部紹介
御質問者様 画像処理エンジニア検定?どんな検定ですか? ヤワラ 画像処理エンジニア検定はそこまでメジャーな資格試験ではないのでそういう反応になりますよね… ...
ご参考になりましたら幸いです。
以上
コメント