イオンリートはJ-REITの中でも珍しく海外の物件を保有するリートです。他のJ-REITで海外の物件を保有しているものはありません。
少子高齢化・人口減少という逆風の中で国内の不動産に投資するより、海外の物件を保有した方が儲かるのでは無いか?というのは素直な考えだと思います。
ただ、海外REITを買うのは複雑そうだし、できれば日本のREITに投資をして、そのREITが海外物件を保有してくれていたら簡単で良いですよね。
そうした考えから個人的にイオンリートが気になったので調べてみました。
REITの指標からみるイオンリート
2019/3/8終値時点の指標を確認します。
NAV倍率:0.94
分配金利回り:4.70%
ここ最近は、利回り4%程度の株も増えて来たので、利回りだけでは特別に魅力的ではありませんが、NAV倍率的にはやや割安な水準です。
これだけ見ると「買っても良いかも」と思わせる数値です。
NAV倍率については以下の記事でも解説せているので、ご参考にどうぞ。
イオンリートの趣旨
イオンリートはその名の通り、イオンの物件を保有するリートです。勿論、イオンから物件を買って保有しています。
ふと疑問に思った事がありまして、それは「なぜイオンはわざわざイオンリートを作り、イオンの物件をイオンリートに売却しているのか?」という事です。
ひょっとしたら、イオンにとって不要な物件をイオンリートに押し付けているのでは?といった懸念もあり、イオンリートが何故出来たのかを調べてみました。
イオンリートが出来た背景は以下です。
- イオンが国内・海外への出店を加速するために資金を調達する必要がある
- イオンの保有物件をイオンリートに売却し、新規出店の資金にする
つまり、イオンが現金を調達するための手段として、イオンリートがある訳です。(不要な物件を押し付けるためではなさそうです。)
イオンリートの保有物件
保有物件数は2018年9月3日時点で40件、うち海外の物件はマレーシアにある2件だけです。金額ベースでは保有物件のうちの1.6%と微々たるものです。
国内物件では、国内最大級のイオンであるイオンレイクタウンやイオンモール水戸内原などの超巨大イオンを中心に保有しています。
物件を保有しているというより、ちょっとした町を保有しているレベルですよね、もはや。
海外物件は今後増える?
イオンリートとしては、海外物件の比率は15%以下とする方針であるためまだ増やす余地はあります。
物件比率で言うと海外物件は5%、取得単価ベースでは1.6%である事を踏まえると、「15%以下にする」という発言はもはやフリとしか思えません。
余談ですが、国内で38件も大型イオンを保有しているなら、イオンがイオンリートに売却できる物件はそう無いのでは?という推測をしましたが、誤りでした。
イオンリートが保有していない大型イオンは国内に沢山あります。
例えば、以下のイオンはイオンリートの保有ではありません。
- イオンモール岡崎(愛知県)
- イオンモール大高(愛知県)
- イオンモール橿原(奈良県)
- イオンモール幕張新都心(千葉)
- イオンモール岡山(岡山)
- イオンモール大日(大阪)
- イオンモールむさし村山(東京)
- イオンモール広島府中(広島)
- イオンモール堺北花田(大阪)
- イオンモール羽生(埼玉)
- イオンモール四條畷(大阪)
- イオンモールりんくう泉南(大阪)
などなど
イオンがイオンリートに売却できる物件は国内にまだまだ沢山あります。
勿論、イオンは中国やASEANにも出店しているため、海外にも20件以上のイオンモールがあります。
国内、国外共にイオンリートに組み入れられうるイオンモールはまだ結構な数があります。
ベトナムやインドネシアへの出店計画もある事から、イオンリートに組み入れられるかは分かりませんが、イオンの物件自体は増えそうです。
イオンリートの物件取得スピードについて
毎年一定というわけではなく年によってバラつきが多いです。
イオンリートの年毎の物件の新規取得数は以下です。
2013年:15件
2014年:1件
2015年:6件
2016年:8件
2017年:9件
2018年:1件
一応、2012年にイオンリートが設立されてから毎年物件が増えていますが、年によってバラつきは多いです。
イオンはドミナント出店戦略と呼ばれる、地域を絞って集中的に出店する戦略を取っています。こうすることで特定地域での知名度を上げる戦略です。
このため、新たなエリアに出店する際には様子を見ながら2,3店舗を出店すると考えられ、そのためにイオンリートに物件を売却して資金を作る事が予想されます。
イオンが既存の店舗の収益性に力を入れる方針を取るか、新規出店に力を入れるかでもイオンリートの物件数は変わりそうです。
災害時にイオンリートを買う事を検討します
災害を待つとは、人としてどうかと思う考えです。
ただ、災害時に価格が下がったのを買い支える人がいないと暴落して困る人もいるでしょう。
イオンリートが保有している物件は全国に分散しており、国内のどこかで災害があればイオンの建物が被災し、特別損失を計上する可能性は高いです。
実際に2016年には、熊本地震でイオンモール熊本が被災し特別損失を計上しました。
この影響で、前期は2790円だった分配金が1450円と約半分に減額されました。
2016年6月10日には13万9000円だった株価も、2016年6月24日には11万6300円に下落しました。
こうした暴落は一時的なものである可能性が高いので、暴落時を狙って買いを入れる戦略もありだと考えます。
利回りだけを求めるならイオンを買うのもアリ
イオンをよく使う方なら、株主優待のオーナーズカードを使う事ができます。
オーナーズカードではイオン系列店での利用額に応じてキャッシュバックを受ける事ができ、使い方によっては配当+優待利回りで5%以上の利回りにすることも可能です。
(実は、オーナーズカードは既に取得しています。)
【イオンの株主優待の利回りは?】1人暮らしにもお勧め?裏技紹介も!
おわりに
イオンリートについて調べる過程でイオンモールについても調べましたが、アジア諸国にもイオンはきっちり出店していました。やはり、日本の少子高齢化・人口減少を懸念した上での成長戦略を取っている様です。
また、イオンモールには病院や郵便局まで入っている所もあり、物件と言うより町に近い部分があり、普通のリートと同様に扱っても良いのか?という考えもあります。物件と言うより、インフラ施設としての一面もあり、この辺りをどう評価するかでも割安・割高の判断は変わって来そうです。
ご参考になりましたら幸いです。
以上
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