本記事は社会人向けに「文章力を身に付けて仕事で活かしたい」という人に向けた記事です。
社会人の場合、学生みたいに現代文の問題集を一から解いていく時間はないという人も多く、書籍を読んでポイントを知りたいという人が多いと思います。
本記事の内容
- 文章力を鍛えるために最初にしたいこと
- 読解力を鍛える本の紹介
- 文章力を鍛える本の紹介
私はSEとして働いていますが、この仕事は予想に反して、文章を書く機会が多いものでした。
特に、客先への資料の作成の際には、複雑な内容を分かり易く記載する必要があるため、相当苦労しました。
文章が苦手だった頃は、分かり難いと指摘される理由が良く分からず、困っていました。
ですが、文章に関する本を数冊読み、コツを掴んだうえで文章を書くことを繰り返すと、だんだんと苦手意識がなくなり、人からも分かり易いと言われるようになってきました。
本記事では、特に、文章を書くのが苦手な人に向けて、
- 文章力の鍛え方
- 文章力を鍛えるためにお勧めする本
について紹介します。
超初心者向け・文章力を鍛えるには、先ずは読解力を鍛えるべき理由
文章力(ここでは分かりやすい文章を書く力とします)を上げるには、読解力も必要です。
理由は下の図に描いた通り、文章力も読解力も論理力がベースになっているからです。
読解力とは、文章の中から、何が主張で、その論拠は何かといった、論理展開を読み取る力です。
逆に、文章力は、読む人が論理展開を汲み取りやすいように、文章を筋道立てて書く力です。
読解力と読解力のどちらにも必要なのが、論理力です。
文章を書くのが苦手な人の場合、先ずは読解力を鍛えることで論理力を鍛えるのがお勧めです。
読解力なら読むだけでも訓練できるので、取り掛かりとしてもお勧めです。
読解力を鍛えるための良書2冊
初心者でも読みやすい・本との付き合い方も参考になる1冊
本書は社会人向けに読解力を上げる方法を解説してくれています。内容も分かりやすく、1時間程度で読めました。
私は本書を読んで、特に以下のことが参考になりました。
- 文章の要点を見つけるコツ
- 文章の構造を掴み、図解化する方法
- 読書を通じた読解力の伸ばし方
大人になってからも、資格試験で文章題を読んだり、難解な文章を読む機会があります。
そうした際に、文章の構造を掴んだり、要点を見つけるコツが身に付いていれば、早く正確に読むことができます。
読書を通じた読解力の伸ばし方として、1冊の本を読んだら、100字程度で内容をまとめてみることを勧めています。
他には、著者は本や文章を以下のように分類しており、読書のバランスを意識しているといのが興味深かったです。
感性 | 知性 | |
ストック | 小説、詩集、漫画 | 専門書、哲学書 |
フロー | 雑誌、エッセイ | 新聞、実用書 |
読みっぱなしにせず、要約を考えることで、読解力・要点を押さえる力がつきます!
「わかったつもり」を抜け出すには?
わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書)
本や説明書を読んで、内容を理解出来たつもりでも、人から質問された時に自分の理解が浅いことに気が付く、といった事はないでしょうか。
仕事関係の文書でこれをやってしまうと、後でトラブルの原因にもなってしまいます。
著者は、文章を一通り読んで分からない事がないと思っている状態を「わかったつもり」の状態としています。
本書には次のことが書かれています。
- なぜわかったつもりになるか
- わかったつもりに気が付くにはどうすれば良いか
本書の中では、「浅くでも理解し、分からない事がないと思える状態」というのが「わかったつもり」としています。
大雑把にでも分かった気になると、細部を読み飛ばしていたり、読み誤りがあったとしても、もう分かったから良いやと、そこから理解を深めるのをやめてしまいがちになります。
そして、結果として「わかったつもり」の状態が維持されてしまいます。
「わかったつもり」を脱する方法として、次のことが挙げられています。
- 文章を読んだ後に、概略や解釈をまとめてみる
- 概略や解釈があまりに簡単すぎ、一般的すぎな場合は、分かったつもりになっている可能性が高い
もし分かったつもりになっていた場合は次のことを振り返ると良いです。
- 思い込みで話の流れを予測し、読み飛ばしをしていなかったか確認する
- 文章中に複数の事例が出て来ている場合にそれぞれの違いを説明できるか
読んだら要約するというのは、「わかったつもり」を脱するにも効果的なので、初心者からベテランまでお勧めです!
文章力を鍛えるための良書3冊
初心者は必ず押さえておきたい、書く前にやるべきこと
先ずは文章力について、最も基本となる内容に絞って解説している本を紹介します。
ライティングの上達はレポートを書いた回数に比例するのではなく、「考えるプロセス」をどれだけこなしたかに比例します。
本書では、文章の書き方そのものよりも、書く前段階での思考の整理術について詳しく書かれています。
分かり難い文章というのは書き方そのものではなく、主張が明確ではなく何を言いたいのか分からない場合が多いです。
本書では、文章を書き始める前に以下の作業が必要であると書かれています。
- これから書く文章を通じて説明したい事(主題)を定める
- 主題に説得力を持たせるための、根拠・例を洗い出す
- 洗い出した根拠・例をグループ化する
この思考プロセスを繰り返すことが、効率的に文章力を鍛えるために重要とされています。
端的に言うと、「論理的な文章」というのをどうすれば書けるかを説明してくれています。
本書を通じて、論理的な思考の整理術+文章の書き方 を学ぶことができます。
非常に読みやすく分かりやすい本であるため、普段あまり本を読まないという人にもお勧めできます。
漫画版アリ・新入社員のときに勧められたという声が多数ある本
本書は「新入社員の頃に上司に勧められた」「研究室で教授に勧められた」といった声が多数ある、文章力の本として広く読まれている本です。
私を含め多くの人が本書の中で特に役立ったとしているのが、事実と意見の書き分けについてです。
仕事の文章をかくときには、事実と意見(判断)との区別を明確にすることがとくに重要である。これは、何でもなさそうにみえるが実はそれほど容易なことではない。
人を論破したい人が多用する「それってあなたの感想ですよね」というのも、事実と意見(判断)の区別にあたります。
私は、事実と意見(判断)の区別は論破ではなく、文章を書く際の思考の整理にこそ有用だと考えています。
報告書を書く際に注意したいのが、こういう現象が起きているなら、常識的に考えてこういう事が起こっているのだろうという推論を事実として書いてしまうことです。
推論が誤っていた場合、その報告書を基に考えた仕事のプランが無駄になってしまいます。
仕事ができる人の特徴の一つに、ポイントを押さえた仕事をし、無駄なことは極力やらないということがあります。
分かりやすい報告書を書くためだけでなく、仕事ができる人になるためにも、事実と意見の識別・書き分けについて勉強することをお勧めします。
本書には概要を解説した漫画版もあります。概要だけ簡単に押さえたい場合は漫画版もお勧めです。
推敲に特化した本
書いた文章について人からの指摘を少しでも減らしたい、そんな場合にお勧めしたい本です。
タイトルに「数学」とありますが、数式とは関係なく、文章全般(論文・Webページ・レポート・書籍など)にも使える内容になっています。
文章の書き方について習うことはあっても、推敲の仕方について習う機会は少ないのではないでしょうか。
このため、推敲したとしても、誤字脱字チェックや自分の感覚に頼った推敲で終わる人が多いのではないでしょうか。
本書は、推敲する上での心構えから、注意して使うべき語句の解説など、推敲について大枠から細部までを教えてくれます。
紹介されている推敲の技法は、言われてみれば当たり前という内容が多いです
例えば、“「基本的には」「ある意味では」「など」という言葉は、つい使ってしまいがちだが、読者に他の場合があることを連想させるため、必要無い場合に使うべきではない。” といったことです。
ただし、自己を振り返って、推敲するときにそれらを全て考慮出来ているかと言われれば、自信がありませんでした。
本書の巻末には、本書の内容を要約したチェックリストがあります。このチェックリストを基に推敲すれば、分かり易い文章にするための基本的なルールは一通り押さえることができます。
余談ですが、著者の結城浩さんは「数学ガール」「暗号技術入門」など理工系のベストセラーを何冊も書かれており、その推敲技術には説得力があります。
おわりに
文章力とは、スポーツの様に正しいフォーム(型)を身に付けさえすれば、誰でも上達することができます。
そのためには、闇雲に沢山書くのではなく、分かり易い文章を書く技術を知り、それを繰り返して練習するのが効果的です。
私も以前は文章を書くのが苦手で、嫌で仕方ありませんでしたが、その原因は自分の感覚に頼っていたからでした。
分かり易い文章の書き方を意識して何度も文章を書いているうちに、少なくとも、苦手意識は克服できました。
特に、システムエンジニアの様に理系出身の方は、文章に対して苦手意識がある人が多いため、文章力があるとそれだけで周囲と差別化になります。
このため、文章力はお勧めしたいスキルの1つです。
ご参考になりましたら幸いです。
以上
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