航空宇宙開発のSEとはどのような業界?年収・残業など

最近では、色々な企業が宇宙開発に乗り出そうとしています。

「宇宙開発」と言えば聞こえが良いですが、実際の所、イメージと違う部分も多いのではないかと思います。

実際に、航空宇宙分野のSEとして働いている私が、どの様な業界なのかについて書かせて頂きます。

 

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職場はホワイトかブラックか?

ホワイトかブラックかの2択なら「ブラック」です。

具体的にどの様な感じなのかを書かせて頂きます。

 

ブラック化する理由:開発難易度が高い

書籍「ソフトウエア見積もり」Steve McConnell著には、分野毎のSWの開発難易度についての言及があります。

それによると、10万LOC(Lines Of Code:プログラムの行数の事)の開発で比較した、開発に必要な月数は以下です。

ソフトウエアの種類10万LOCを開発する工数の見込み
リアルタイムシステム50 カ月
科学システム、工学研究300 カ月
市販ソフトウエア200 カ月
システムソフトウエア、ドライバ100 カ月
通信100 カ月

 

航空・宇宙開発系のソフトウエアにも様々ですが、衛星の軌道を計算したりするなら上記の「科学システム・工学研究」に該当します。

同じくらいのボリュームのソフトウエアを作成する場合、科学システム、工学研究のソフトウエアは開発に必要な工数(月数)が多いです。

開発に必要な工数が多いということは、それだけ複雑なソフトウエアという事です。

開発期間が長ければ、見積もりの誤差の影響を受けやすかったり、また、複雑なソフトウエアであると、バグも発生し易くなります。

十分なスキルをもったエンジニアがいないと、簡単に遅延・バグの大量発生によりブラック化します。

 

病んで止める人は多い

ブラック化すると、病んで仕事を止める人も多いです。

外注で外からやってきたSEの方も「ここの職場はおかしい」という人が多いです。

 

年収について

基本給は並み程度

「先端技術に関われるし給料が高そう!」というイメージをお持ちではありませんか?

正直、そんなことは無いです。SEとして稼ぎたいなら、余所に行った方が余程効率的に稼げると思います。

 

残業が多いので見た目の給料は良い

開発の都合上、どうしても残業が多くなりがちです。

このため、残業代で稼いでいる側面があります。

個人的な例ですが、2年目で600万円稼ぎました。

同年代の諸先輩方もこれくらいの方が多かったです。

 

働いている人について

優秀な人が多い

学生の頃に航空宇宙分野に携わっていて、その流れで就職したという人が多いです。

理学・工学系で航空宇宙分野と言えば人気分野です。

大学では成績順で専攻の希望が通るのが普通であり、航空宇宙分野に配属される学生は優秀な学生が多く、その出身者なので頭の良い方が多いです。

 

就職後に勉強する人としない人の2極化が激しい

職場の人は、プライベートで全く勉強しない人と、自分の専門分野をトコトン追求する人の2タイプに分かれてる感じです。

SEと言っても、それ程、最新の技術を使うよりかは、物理・数学的なスキルを使う場面が多いため、昔取った杵柄で騙し騙しやっていく事も、一応、出来ます。

逆に、社内で講座の講師を積極的にやっていく位、勉強好きな人も多いです。

 

タフな人が多い

一緒に働く外注さんに「なんでここの人達は鉄人揃いなんですか!?」と良く言われます。

精神的、体力的にタフだと思う人が多いです。

というより、そうでない人は残らないので、必然的にそうなります。。。

 

お金には無頓着な人が多い

勿論、お金が無いよりは有った方が良いに決まっていますが、あまり資産運用や収入アップに意欲的な人は多くないです。

お金が好きな人はそもそも違う分野に行ってしまうので、私の様に資産運用をしている人は少数派です。

 

人が良さそうな人が多い

結婚式等で職場の人が集まっている写真を人に見せると「みんな良い人そう」と言われます。

他社さんを含めて、ヤカラっぽい人はほぼいません。

 

言うほど宇宙が好きな訳ではない

天体観測とかそういうのが好きな人は少ないです。

どちらかというと、技術的な話や物理的な話が好きな人が多いです。

宇宙への憧れだけで入ってきた人は、理想と現実のギャップから止めて行く人が多いです。

 

おわりに

正直「宇宙が好き」という理由だけでやっていくには厳しい業界だと思います。

ニッチな業界であるため、転職は難し目です。

仕事にあたっては、物理や数学系の素養を求められる場合も多く、そういうのが好きな方はやって行きやすいのではないかと考えています。

 

ご参考になれば幸いです。

以上

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